政党
リビア
2021年9月21日
リビア/政党
筆者は2019年10~11月に1,200人以上のリビア国民を対象として世論調査を実施したが、支持政党についての質問では、「どの政党も支持しない」という回答が全国平均で92%(西部93%、東部92%、南部93%)と圧倒的であった。2%以上の支持を得たのは「リベラル」とされる「国民勢力連合(National Forces Alliance)」とムスリム同胞団系の「公正建設党(Justice and Construction Party)」のみであった。
政党に対する支持の低さは、リビアでは1951年の独立からカッザーフィー政権期崩壊まで政党活動が禁じられており、政治における政党の役割が限定的であることが要因だと考えられる。本稿執筆時点で、比例代表方式による選挙が行われたのは2012年のGNC選挙のみであり、政党政治はリビア国内に定着していないと指摘できる。「国民勢力連合」と「公正建設党」は、2012年のGNC選挙において第1党、第2党となり、国内における政治的影響力が大きいとみなされてきた。しかし、政変後のリビアで要人の暗殺・誘拐、政党と関わりを持つ民兵組織による政府機関やインフラ施設の襲撃などが頻発し、政策でなく暴力によって政治が決定されてきた経緯から、リビア国民の政治に対する期待感が低下したと指摘できるだろう。
2021年12月に実施予定の国政選挙を見据えて、全国で約130の小規模政党が設立されたと報じられるが、多くの政党が新設であり、政策でなく特定の地域や部族によって構成された組織が大半であると指摘される。
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