「アラブ首長国連邦」カテゴリーの記事一覧

2021年8月30日

アラブ首長国連邦/現在の政治体制・制度

アラブ首長国連邦(UAE)は、7つの君主制の首長国から構成される連邦国家である。1971年12月2日に英国の保護領から独立し、現在に至る。政治体制は、UAE 恒久憲法(以下憲法)において規定されている。

政治体制は憲法第1条において、「UAEは独立した、主権を有する、連邦制の国家」と定められている。連邦を構成する首長国は、アブダビ、ドバイ、シャルジャ、アジュマーン、ウンム・アル=クワイン、ラアス・アル=ハイマ、フジャイラが列記されている。各首長国には、長年同地を支配してきた首長家が存在し、首長位は首長家内で移譲されてきた。また憲法第45条により、連邦機関は①連邦最高評議会(al-Majlis al-’U‘lā li-l-Ittiḥād/The Federal Supreme Council)、②連邦大統領および副大統領、③連邦閣僚評議会(Majlis Wuzarā’ al-Ittiḥād/The Council of Ministers of the Federation)、④連邦国民評議会(al-Majlis al-Waṭanī al-Ittiḥādī/The Federal National Council; FNC)、⑤連邦司法、の5つから構成されることが定められている。

連邦政府の最高意思決定機関は、7首長によって構成されている連邦最高評議会である。連邦最高評議会の互選により、国家元首である連邦の大統領と副大統領が一名ずつ選出される。アブダビ首長が連邦大統領を務め、ドバイ首長が連邦副大統領と首相を務めることが慣習となっている。また大統領は首相を任命し、首相が組閣する。首相や閣僚の就任については、議会の承認を必要としていない。制度的には各首長国は対等な地位にあるものの、実態としては政治・経済の面でUAEの建国や発展を主導してきたアブダビとドバイが優位である体制が続いている。

UAEにおいて三権は分立されておらず、立法権と行政権は形式的に連邦最高評議会の監督・承認を受けるものとされている。

立法権は憲法第110条によって「閣僚評議会が法律案を起草し、連邦国民評議会に提出する。閣僚評議会は法律案を大統領および最高評議会に提出する。連邦大統領は、連邦最高評議会による承認を経たのち、法律に署名し、公布する」と定められている。閣僚評議会で起草された法案はFNCで審議・承認を受け、審議結果や勧告は閣僚評議会に提出される。ただし、閣僚評議会の決定はFNCの審議に左右されない。法律は最終的に大統領が署名し、その後公布される。

行政権は憲法第60条によって「閣僚評議会は、その連邦の行政機関としての資格並びに連邦大統領及び最高評議会の最高の監督に基づいて、この憲法及び連邦法に従い、連邦の権限内にあるすべての対内および対外事項を処理する責任を負うものとする」と規定されている。

司法権については、「司法は、統治の基礎である。裁判官は、独立であって、その職務遂行にあたり、法律および良心以外のいかなる権威にも服さない」(第94条)と規定される。また、最高裁判所の裁判官は、最高評議会の同意を得たのちに大統領命令によって任命される(第96条)。

連邦政府

UAEは連邦体制をとっており、連邦政府と首長国政府の間では行政上の管轄が分かれている。憲法第120条では、連邦政府が外交や軍事、治安、連邦財政、教育、公衆衛生などの管轄権を保持することが定められており、第122条によって首長国政府がそれ以外の管轄権を保持することが定められている。そのため、天然資源に関する管轄権は各首長国が保持することになっている。またアブダビやドバイなど財政力のある首長国政府は、例えば教育など連邦政府の管轄分野であっても、独自の政策を実施することが少なくない。

UAEの最高意思決定機関は連邦最高評議会である。歴史的には7首長が一堂に会して重要な政策について議論していた時期もあったが、次第に形骸化するようになった。今日では、連邦最高評議会はほとんど開かれておらず、12月2日の建国記念日やイードなどの祝賀行事、5年に一回の大統領改選の際に7首長が集まる程度である。したがって、閣僚評議会(内閣)が実質的な最高意思決定機関となっている。閣僚評議会は首相と副首相、各省庁の大臣(閣僚)、国務大臣、事務局長らから構成されている。

連邦財政については、憲法によって各首長国の規模に応じた分担が定められている。しかしながら、北部首長国には財政を負担する能力がないため、豊富な石油資源を有するアブダビ首長国が大部分を負担してきた。また財源多角化のために2018年1月から5%の付加価値税(VAT)が導入されており、その30%は連邦財政に組み込まれる。連邦政府は国内資源の再配分機能を有しており、とりわけ北部首長国の基幹インフラの整備や教育政策、保健政策などにおいては中心的役割を担っている。

首長国政府

各首長国は世襲の首長によって統治されている。首長、副首長、皇太子が政治の中心となり、また他の首長家メンバーも首長国政府機関の要職に就くことが多い。首長府や執行評議会と呼ばれる機関が意思決定と政策の中心となり、その下に連邦政府の省庁に相当する専門部局が設置されている。またアブダビとシャルジャにはそれぞれ諮問評議会が設置されており、地元住民の意見を吸い上げる仕組みがある。

首長国政府財政は独立しており、基本的に独自の財源で賄われている。ただし、北部首長国は天然資源に乏しく財政基盤が脆弱なため、独自で債権を発行して資金調達を行ったり、何らかの形でアブダビからの支援を受けたりしていると考えられる。また、2018年に導入されたVATの70%は徴収した首長国の財政に組み込まれている。

連邦国民評議会

UAEの議会にあたる連邦国民評議会(FNC)は1972年に設立された。議会制度は憲法第4章「連邦国民評議会」(憲法第68条~第93条)によって明文化されている。政府に対する諮問的な役割を担っており、政府から提出された法案を審議したり、各種政策について担当大臣や省庁関係者を喚問し議論することができる。しかしながら、連邦国民評議会には立法権が認められていない。

FNCは全40議席からなっており、アブダビおよびドバイは各8議席、シャルジャおよびラアス・アル=ハイマは各6議席、アジュマーン、ウンム・アル=クワイン、フジャイラは各4議席が割り当てられている。議員の任期は4年(2008年の憲法改正により、それまでの2年から延長)で、会期は10月第3週からの7か月間と定められている。

議員は、長らく首長による勅選が行われてきた。その後、2005年にハリーファ大統領が翌2006年にFNC選挙を実施することを発表した。これにより、全議席の半数にあたる20議席は、選挙による選出へと変更された。2001年の米国同時多発テロ事件以降、湾岸諸国は欧米からの民主化・改革圧力がかかっていた。また指導者層のなかには現状を政治的な「遅れ」と見る向きもあり、ある程度の政治改革の必要性は自覚されていたと言えるだろう。

参考文献

  • 堀拔功二 2011. 「アラブ首長国連邦」松本弘(編)『中東・イスラーム諸国民主化ハンドブック』明石書店, pp. 338-353.
  • 堀拔功二 2020. 「アラブ首長国連邦」日本エネルギー経済研究所中東研究センター(編)『JIME中東基礎講座2020年版』, pp. 44-50. 
  • UAE Cabinet “The Constitution” <https://uaecabinet.ae/en/the-constitution>
  • UAE Ministry of Justice “Laws and Legislation Portal” <https://elaws.moj.gov.ae/engLEGI.aspx>
  • UAE Ministry of State for Federal National Council Affairs <https://www.mfnca.gov.ae/en/>
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2021年8月30日

アラブ首長国連邦/最近の政治変化

UAE建国の父であるザーイド・ビン・スルターン・アール・ナヒヤーン大統領が2004年11月に死去すると、息子のハリーファ・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン・アブダビ皇太子が首長に就任し、連邦最高評議会で大統領に選出された。また2006年にはムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥームが連邦副大統領兼首相に就任した。ハリーファ期には政治改革が漸進的に進められ、2006年にはFNC選挙が初めて実施された。またムハンマド・ビン・ラーシド首相の下で行政改革や政府の効率化が進められた。不定期に新内閣の立ち上げおよび内閣改造が行われており、首長国政府や政府系企業で頭角を現してきた人材がテクノクラートとして登用されるようになっている。2016年と2020年に省庁再編・政府機構改革が実施され、それに伴い新内閣の立ち上げも行われた。寛容・共生相や幸福担当国務相、青少年担当国務相など、国内の政治的・社会的課題に対応するためのポストも新設されている。

2010年末から翌年にかけて、中東で「アラブの春」が起こると、UAEでも政治改革を求める人々が声を上げた。2011年3月、UAE国内のリベラル派とイスラーム主義者から成る政治改革派が大統領および首長らに対して、包括的な政治改革を求める建白書を提出したのである。しかしながら、改革を求める声は体制に受け入れられず、建白書の取りまとめやインターネット上で政治活動を行っていた5人が逮捕された。当局による改革派への取り締まりは翌年以降も続き、ムスリム同胞団系組織「イスラーハ」のメンバーやその家族など200人以上が逮捕された。国民の多くは政治的関心が低く、また当局による厳しい言論監視も続いたため、改革派に対する支持は広がらなかった。

2014年頃から、国内政治にも新たな変化が見られた。同年、ハリーファ・ビン・ザーイド大統領が脳卒中で倒れ、政治の表舞台には顔を見せなくなった。その後、アブダビ皇太子であるムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーンが、アブダビ首長国だけでなく連邦政府においても政治的影響力を行使するようになった。現在、ムハンマド・ビン・ザーイド・アブダビ皇太子がUAEの事実上の指導者であると見なされている。内政面では、ムハンマド・ビン・ラーシド首相は内閣改造の人事案についてムハンマド・ビン・ザーイド・アブダビ皇太子と相談するようになった。また両者は定期的に会談し、国家運営について意見交換を行っている。

ムハンマド・ビン・ザーイド・アブダビ皇太子の影響力は、外交・安全保障分野においても拡大している。UAEは近年、国際社会において外交的・経済的な存在感を強めており、ある種の大国意識を持つようになった。UAEの外交・安全保障戦略も、従来の国際協調路線から、次第に自国の戦略的利益を優先する拡張主義的なものへと変化している。その結果、UAEと域内諸国との対立も生じている。また、ムハンマド・ビン・ザーイド・アブダビ皇太子の「反イラン」「反イスラーム主義」という脅威認識も、安全保障戦略に色濃く反映されている。UAEは同盟国のサウジアラビアとともに、対イラン封じ込めやイエメン内戦への介入、対カタル断交などで連携した。また2020年のイスラエルとの国交正常化についても、ムハンマド・ビン・ザーイド・アブダビ皇太子のイニシアチブによって実現したと言えるだろう。

参考文献

  • 堀拔功二 2011. 「アラブ首長国連邦」松本弘(編)『中東・イスラーム諸国民主化ハンドブック』明石書店, pp. 338-353.
  • 堀拔功二 2012. 「UAEにおける政治改革運動と体制の危機認識――2011年の建白書事件を事例に――」アジア経済研究所機動研究報告『アラブの春とアラビア半島の将来』, pp. 1-14.
  • 堀拔功二 2016. 「ポスト・ハリーファ期を見据えるアブダビ政治の動向――ムハンマド皇太子の研究――」『中東動向分析』15(4): 1-16.
  • 堀拔功二 2018. 「MbZの外交:カタル危機をめぐるUAEの対米アプローチを事例に」『中東動向分析』16(11): 1-15. 
  • 堀拔功二 2020. 「アラブ首長国連邦」日本エネルギー経済研究所中東研究センター(編)『JIME中東基礎講座2020年版』, pp. 44-50. 
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2021年8月30日

アラブ首長国連邦/選挙

UAEでは、FNCでこれまでに4回(2006年、2011年、2015年、2019年)の選挙が実施されている。また地方レベルでは、シャルジャ諮問評議会(al-Majlis al-Istishārī al-Imāra al-Shārqa/Consultative Council of Sharjah)でも2015/16年と2019年に選挙が実施された。

FNC選挙制度

選挙はFNC40議席の半数にあたる20議席を対象に各首長国で実施される。2019年選挙時点において完全な普通選挙は実施されていない。それぞれの首長国で首長が選挙人団(al-Hay’a al-Intikhābīya/Electoral College)を選出し、リストに登録されたUAE国民だけが投票および立候補の資格を有することになる。選挙人団の数は、各首長国がもつ配分議席の300倍以上(2006年は100倍以上)と定められており、上限はない。現在のところ、各首長による選挙人団選出過程は、選挙権・被選挙権をめぐる事実上の事前審査となっている。

選挙人団に選出された者は、選挙への立候補が認められ、審査手続きを経て正式な出馬となる。被選挙権は憲法第70条によって定められており、①UAE国民であること、②25歳以上、③品行方正で犯罪歴がないこと、④読み書きのできる者、となっている。また議員就任中は閣僚を含む他の公的な役職との兼任が禁止されている。

選挙期間や活動規定などは、国家選挙委員会が別途定めている。国家選挙委員会は関係省庁大臣や事務次官、有識者などから構成されており、各首長国にも支部が設置される。同委員会は選挙の円滑な実施を管理するとともに、国民への選挙啓発キャンペーンなども行う。

有権者は1人1票を、選挙人団として登録されている首長国の候補者へ投票することができる(ただし、2006年選挙と2011年は1人4票まで投票することができた)。投票は秘密投票で、2006年および2011年選挙はコンピュータ上で候補者を選択して投票用紙に出力し、それを投票した。2015年選挙からは完全な電子投票に変更されている。投票所は各首長国に設置され、主要な公的施設やショッピングセンターなどが利用されている。即日開票され、同日中に当選者が明らかになる。当選者が発表されたあと、落選者は48時間以内に選挙管理委員会に異議申し立てを行うことができる。その後、異議の審査を経て最終的な当選確定リストが発表される。

1FNC選挙(2006年)

UAE史上初となるFNC選挙は、2006年12月に実施された。選挙実施に至る経緯を整理すると、連邦最高評議会が8月10日に決定2006年第4号を発布し、FNC議員の選出方法について改めた。これにより、各首長国に割り当てられた議員の半数は選挙人団から選出されることになり、また選挙人団の数は各首長国の割り当て議席の100倍以上とした。そして、残りの議席については、首長による勅撰とすることが定められた。8月15日には大統領決定2006年第3号が発布され、議員選出の手続きが定められ、国家選挙委員会が組織される。そして、10月1日に選挙人団が発表され、UAE人口(当時)の約0.8%にあたる6,595人(うち女性は1,162人)が選挙人団に選出された。

具体的な選挙プロセスは11月になって本格化した。11月19日から22日にかけて立候補者登録が行われ、資格審査を経て11月30日に最終的な候補者リストが発表された。その結果、456人(うち女性は65人)が選挙に立候補することになった。12月1日から2週間の選挙キャンペーンが行われ、各候補者はポスター、新聞広告、メディア、インターネットを使って選挙戦を展開した。また国家選挙委員会も、国民全体に選挙についての意義を伝えるべく、啓発活動を行った。なお、選挙キャンペーン中に18人が立候補を取りやめて選挙戦から撤退している。

投票は3日間にわたり行われた。12月16日にアブダビとフジャイラで、18日にドバイとラアアス・アル=ハイマで、20日にシャルジャ、アジュマーン、ウンム・アル=クワインで投票が行われた。選挙の結果、女性1名(アブダビ)を含む20人がFNC議員として当選した。投票率は、UAE全体で74%となっている。

第1回目の選挙は直接投票に参加できた人数が、国民人口に比してあまりに小さいため、政治参加を求める市民からは大きな不満が出た。また、FNCにはそもそも立法権が付与されていないので、選挙実施の意義についても問われた。最も大きな問題は、選挙への関心が一部の層に留まっていたことであり、国民全体の政治的関心の低さも指摘されている。

首長国選挙議席数選挙人団
(人)
立候補者数
[女性](人)
投票者数
(人)
投票率
アブダビ41,741100[14]1,03859.6%
ドバイ41,52082[15]1,08071.1%
シャルジャ31,017101[29]83682.2%
ラアス・アル=ハイマ31,06183[3]82377.6%
アジュマーン243624[2]37185.1%
ウンム・アル=クワイン240329[1]35888.8%
フジャイラ241737[1]37790.4%
合計・平均206,595456[65]4,88374.0%
第1回FNC選挙(2006年)

2FNC選挙(2011年)

2008年に憲法改正が行われ、FNC議員の任期がそれまでの2年から4年へ延長された。これにともない、第2回FNC選挙は2011年に行われた。この年、中東諸国は「アラブの春」による政治変動の影響を受けており、UAEでも政治改革を求める建白書が改革派から大統領と首長宛に提出された。建白書では包括的な政治改革の必要性を訴えており、とくに普通選挙の実施とFNCへの立法権の付与を求めていた。第2回選挙では、改革派が求めたいずれの主張についても受け入れられなかったものの、選挙人団については「各首長国の割り当て議席の300倍以上」へと大幅に引き上げられた。その結果、13万人近い国民が選挙人団として登録され、女性も46%を占めた。

2011年2月にFNC会期が終了すると、9月24日に第2回選挙の投票が行われることが発表された。国家選挙委員会は2011年7月10日、全国で129,274人の選挙人団が登録されたことを発表した。国家選挙委員会はその後、各地で選挙人団に対する説明会を実施し、8月中旬から立候補の受け付けが始まった。全国で469人(うち女性は85人)の立候補があったが、最終的に19人の立候補を取りやめている。9月4日から選挙戦が始まり、候補者は新聞広告やインターネット、SNSなどを駆使して選挙キャンペーンを行った。しかしながら、FNCの政治的権限が制限されていることもあり、候補者の公約は総花的で具体性に欠けるものであった。そのため、有権者である選挙人団の反応は芳しくなかった。投票直前の週には、ハリーファ大統領ら政府首脳が選挙人団に投票を促す異例の声明が発表されるほどであった。

9月24日に全国で投票が行われ、翌25日に女性1人を含む20人の当選が発表された。投票率は全国平均で27.8%と非常に低かった。また前回に続き、選挙議席数の数十倍もの立候補があったため、票が分散して大量の死票が発生した。その一方で、アブダビでは4議席中3議席をアーミリー部族の出身者が当選し、アジュマーンもシャームシー部族が2議席を獲得するなど、特定部族による議席の独占が見られた。このように、UAEでは「アラブの春」において政治改革を求める声は上がったものの、それらの意見は一部に留まっており、低い投票率からは一般国民の薄い政治的関心が示唆される。

首長国選挙議席数選挙人団
(人)
立候補者数
[女性](人)
投票者数
(人)
投票率
アブダビ447,444117[22]10,10921.3%
ドバイ437,514124[26]9,26824.7%
シャルジャ313,93794[16]5,89042.3%
ラアス・アル=ハイマ316,85060[9]5,08530.2%
アジュマーン23,92034[5]1,56239.8%
ウンム・アル=クワイン23,28519[4]1,79654.7%
フジャイラ26,32421[3]2,16734.3%
合計・平均20129,274469[85]35,87727.8%
第2回FNC選挙(2011年)

3FNC選挙(2015年)

第3回FNC選挙の準備は、2015年2月頃から始まった。4月29日には同年10月3日に投票を実施することが発表され、また投票数も従来の1人4票から1票へと変更された。国家選挙委員会は、前回選挙時の投票率の低さを反省し、各地でセミナーを実施したりメディアやSNSを通じた広報活動が強化された。投票率の向上を目指すため、今回の選挙から在外投票と期日前投票も導入されている。

国家選挙委員会は7月5日、選挙人団の規模について前回より約10万人多い224,279人とすることを発表した。8月13日に公示が行われ、同16日から立候補者の登録が行われた。そして、8月31日に341人の立候補者(うち女性は76人)が発表された。本来であれば9月6日から選挙戦が始まる予定であったが、この直前にイエメンに駐留するUAE軍兵士45人がフーシー派の攻撃により戦死する出来事があったため、選挙戦の開始は8日に延期された。

今回から導入された在外投票は、各国の在外公館で9月20日から21日にかけて実施された。また期日前投票は各首長国の主要投票所で、9月28日から30日まで行われている。そして10月3日の投票日には、全国39か所で投票が行われた。2015年選挙からIDカードを用いた電子投票システムが導入されたことにより、投票が締め切られてから30分程度で開票結果が発表された。ドバイでは現職議員2名が再選を果たすなど、議員活動の実績が評価されている様子が伺えた。また、第3回選挙でも女性の候補者は苦戦し、ラアス・アル=ハイマで1人の女性候補者が当選するに留まった。懸念されていた投票率は前回選挙に比べてわずかに上向いた。投票者の半数が在外投票や期日前投票を利用しており、新制度の導入が投票率の向上に有効であったと言える。

首長国選挙議席数選挙人団
(人)
立候補者数
[女性](人)
投票者数
(人)
投票率
アブダビ490,40896[24]35,04638.8%
ドバイ453,56862[22]11,76022.0%
シャルジャ331,76661[11]9,58530.2%
ラアス・アル=ハイマ327,45541[5]11,44441.7%
アジュマーン26,09023[4]2,96548.7%
ウンム・アル=クワイン24,10520[3]2,88270.2%
フジャイラ210,88738[7]5,47550.3%
合計・平均20224,279341[76]79,15735.3%
第3回FNC選挙(2015年)

4FNC選挙(2019年)

第4回FNC選挙では、女性の政治参加が積極的に推進された。ハリーファ・ビン・ザーイド大統領は2019年6月22日に大統領決定2019年第1号を発布し、FNC議員の半数を女性にすることを義務付けたのである。選挙・勅選による女性議員の選出方法については各首長国に任せられ、アブダビ、ドバイ、アジュマーン、ウンム・アル=クワイン、フジャイラでは選挙議席の半数(2議席)を女性に割り当てた。またシャルジャとラアス・アル=ハイマでは、選挙での女性枠は設けず、もし選挙によって女性が当選しない場合は首長が任命することになった。

国家選挙委員会は6月30日、第4回FNC選挙の選挙人団を337,738人とすることを発表した。8月18日から22日にかけて立候補の受け付けが行われ、9月3日に495人の立候補(うち女性は180人)が発表された。女性議員増加の方針を受けて、女性立候補者の数も前回選挙の22%から36%へと増えた。例年通り、少ない議席数に対して多くの候補者が乱立したため、票が割れることが想定された。選挙キャンペーンは9月9日から10月4日まで行われ、今回からは投票日前日までの選挙活動が認められるようになった。

投票は在外投票から行われ、9月22日から23日にかけて世界118か所の在外公館などで投票が行われた。その後、10月1日から3日にかけて期日前投票が行われる。そして、10月5日に国内39か所で投票が行われた。投票者数は選挙人団の拡大により増加したものの、投票率は全国平均で34.8%と前回の35.3%より微減した。アブダビやドバイに比べると、北部首長国の投票率が全体的に高かったのが特徴である。投票の結果、ドバイとフジャイラでは現職議員がそれぞれ1人ずつ再選を果たした。また女性候補者は、アブダビ、ドバイ、アジュマーン、ウンム・アル=クワイン、フジャイラで7人誕生した。シャルジャおよびラアス・アル=ハイマにおいて女性の当選はなかった。その後、首長によって女性議員が3人ずつ任命されている。なお、シャルジャで首長により任命された女性議員は、選挙で敗れはしたものの得票数が上位の3人であったことから、結果として「民意」が反映されたことになる。

首長国選挙議席数選挙人団
(人)
立候補者数
[女性*](人)
投票者数
(人)
投票率
アブダビ4101,549133[47]35,79035.2%
ドバイ460,77288[37]12,89121.2%
シャルジャ364,293114[39]22,45134.9%
ラアス・アル=ハイマ355,28961[20]22,17240.1%
アジュマーン210,16526[5]4,39343.2%
ウンム・アル=クワイン26,65320[8]3,77856.8%
フジャイラ239,01753[20]16,11741.3%
合計・平均20337,738495[176]117,59234.8%
*立候補者数の女性内訳人数は最終候補者リストの数になる。そのため女性立候補者の合計は当初発表の180人より4人減っている。

第4回FNC選挙(2019年)

シャルジャ諮問評議会選挙

シャルジャ諮問評議会は、1999年に設置されたシャルジャ首長国に関する行政、社会、文化、経済開発に関して諮問する機関である。また首長国内で施行される法律を策定する立法権も有している。スルターン・カースィミー首長が2015年6月に選挙の実施を発表した。諮問評議会の議席の半分を選挙で選出し、残りの議席を首長の任命によって選出する。21歳以上のシャルジャ市民の男女が選挙人団として登録することができ、25歳以上が選挙に立候補することができる。議員の任期は4年で、これまでに2015/16年と2019年に選挙が実施されている。選挙区と議席の割り当ては、シャルジャ市(6議席)、アル=ザイド市(3議席)、ハウル・アル=ファカーン市(3議席)、カルバー市(3議席)、ディッバ・アル=ヒスン(2議席)、アル=マダーム(1議席)、アル=ハムリーヤ(1議席)、アル=バターイフ(1議席)、マライハ(1議席)となっている。なお、2019年選挙では定数が50議席に増やされ、これに伴いシャルジャ市(9議席)とアル=マダーム(2議席)の議席数が変更された。

第1回選挙(2015/16年)は、42議席の半分が選挙によって争われた。2015年12月6日から17日にかけて選挙人団の登録が行われ、21歳以上人口の78,457人のうち、31.8%にあたる24,952人(男性13,794人、女性11,158人)が登録された。その後12月27日から29日かけて立候補受付が行われた。そして、2016年1月12日に最終候補者リストが発表され、各選挙区から合計195人(うち女性は43人)が立候補した。1月17日から28日かけて選挙キャンペーンが行われ、1月30日と31日に投票が行われた。女性候補者はハムリーヤ選挙区で1人が当選したのみで、後日スルターン首長が6人の女性を勅撰議員として任命した。

選挙区選挙議席数選挙人団
(人)
立候補者数投票者数
(人)
投票率
シャルジャ市69,937925,74257.8%
アル=ザイド市31,368111,03976.0%
ハウル・アル=ファカーン市34,944303,48870.6%
カルバー市33,759232,71772.3%
ディッバ・アル=ヒスン市21,862101,35973.0%
アル=マダーム11,087888081.0%
アル=バターイフ1620641667.1%
マライハ1854974987.7%
アル=ハムリーヤ1521640677.9%
合計・平均2124,95219516,79667.3%
合計・平均2124,95219516,79667.3%
第1回シャルジャ諮問評議会選挙(2015/16年)

第2回選挙(2019年)は諮問評議会の定数が50議席に増えたことにより、その半数の25議席が選挙で争われることになった。2019年9月1日から選挙人団の登録がオンライン上で始まり、同15日からは各地での登録も行われた。登録作業は9月30日まで続けられ、44,758人が選挙人団として登録された。10月9日に告示が行われ、10月20日から22日にかけて立候補者の受け付けが行われた。そして、10月31日に最終候補者リストが発表され、189人(うち女性は41人)が立候補した。選挙戦は11月3日から18日にかけて行われ、投票は11月20日から23日にかけて実施された。なお、今回の選挙から電子投票・集計システムが導入されている。投票終了後から開票作業が行われ、翌11月24日に当選結果が発表された。今回の選挙において女性議員は、シャルジャ市、バターイフ、ハムリーヤでそれぞれ1人ずつの当選があった。

選挙区選挙議席数選挙人団
(人)
立候補者数投票者数
(人)
投票率
シャルジャ市919,074699,61350.4%
アル=ザイド市32,273131,73376.2%
ハウル・アル=ファカーン市38,401365,63467.1%
カルバー市37,117214,09057.5%
ディッバ・アル=ヒスン市23,659172,56770.2%
アル=マダーム21,491121,00767.5%
アル=バターイフ1797658172.9%
マライハ11,240996377.7%
アル=ハムリーヤ1706641258.4%
合計・平均2544,75818926,60059.4%
第2回シャルジャ諮問評議会選挙(2019年)

参考文献

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2021年8月30日

アラブ首長国連邦/政党

政党の設立は認められていない。2012年8月に、ムスリム同胞団系組織イスラーハ元メンバーのハサン・ドッキーがUAEウンマ党(Hizb al-‘Umma al-Imārāt)の設立を宣言した。しかし、本人はその後トルコに亡命しており、政治活動はオンライン上で行っている。

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