大統領制をとる共和制。現在の政治体制は、1990年憲法および1994年、2001年の憲法改正によって規定されている。行政権は、大統領と内閣に属する。大統領は直接選挙による公選制で、任期7年、三選禁止。大統領は当選後に、副大統領1名と首相を任命し、大統領と首相の協議により、首相が閣僚を任命する。大統領は議会で可決された法案を発布するが、法案の再審議を求めて議会に差し戻すことができる。差し戻された法案を議会が再度過半数により可決した場合、大統領はその法案を2週間以内に発布する。大統領は議会閉会中に、憲法と予算に反さない限りにおいて、法的効力を持つ大統領令を発することができるが、それは開会された議会に提出され、承認されなければならない。

立法権は議会に属する。議会は定数301名で、すべて小選挙区による選出と憲法に規定されている。また、議会のほかに大統領により議員が任命される諮問評議会がある。これは立法機関ではないが、議会に準ずるものとされ、有識者が大統領および議会に対し必要な提言を行なう。1994年憲法改正により設置され、2001年憲法改正により拡充された。定数は59名から111名に増員され、上記提言とともに、議会との合同会合において大統領選挙候補者の指名や開発計画の承認、条約の批准を行なうこととなった。これにより、大統領選挙候補者の指名に関わる規定は、議会と諮問評議会の合同会合メンバーの5%(21名)以上の推薦と候補者3名以上に変更された。

司法機関は、憲法により「法的、財政的、行政的に自立した機関」とされ、「検察当局は下部機関のひとつ」とされる。司法と検察の成員は、法により規定された条件を除いて解任されず、最高司法会議が裁判官の任命、昇進、解任を執行する。

2000年1月に、イエメン初の地方自治法が公布された。地方自治法は、1994年憲法改正において規定された地方評議会の設置に基づくもので、それは以下のように規定している。州知事およびムディール(州より下位の行政区域ムディーリーヤの長)はそれまで通り中央政府により任命され、それぞれの地方評議会の議長を務める。州評議会の議員は、州を構成する各ムディーリーヤから1名ずつが選出される。ムディーリーヤ評議会の議員は、住民の規模に応じ17~27名が各ムディーリーヤにて選出される(任期はともに4年)。両評議会はそれぞれ、その選出議員の中から事務総長を選出する(事務総長は慣習的に、それぞれ副知事、副ムディールと呼ばれている)。地方評議会に条例などの議決権はなく、その職務は当該行政区域における開発計画等の決定や予算の承認および監査であり、事務総長がそれらに関わる準備や調整を担当する。この地方評議会は行政機関の一部として、地元の民意を地方行政に反映させる、もしくは地方行政を監督するためのものと位置付けられている。 その後、州知事およびサナア市長は地方評議会による間接選挙で選出されることとなり、2008年5月17日に選出が行なわれた。 

2011年のサーレハ大統領辞任、2012年のハーディー大統領就任のあと、2013年3月から新憲法制定のための基本方針を決める包括的国民対話会議が始まった。包括的国民対話会議は2014年1月、連邦制導入などの方針を決定して閉幕したが、その後ハーディー政権は憲法案作成を行なわず、さらに翌2015年3月以降の内戦により、憲法制定作業はなされていない。

参考文献