中東の民主化と政治改革の展望

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2006年度第2回研究会

2007年03月24日 14時30分〜@東京大学東洋文化研究所会議室

午後2時30分より4時まで、データベース執筆メンバーによりデータベース公開に向けた内容の最終調整が行なわれた。いくつかの修正点が議論され、データベースの執筆者およびプログラム作成者が必要な作業を行なうこととなった。

午後4時より一般に公開された研究会となり、モロッコより来日中のアシーア・ベンサラーハ・アラウィー無任所大使を講師に迎えて、「モロッコの民主主義」をテーマに報告と議論が行なわれた。ベンサラーハ大使は、ムハンマド5世大学の法・経済・社会科学部で国際法の教授および戦略研究センター研究部長を務めた経験を持つことから、近年のモロッコで実施されている種々の政治改革を通して、その背景である社会レベルの変化を解説した。女性や教育、労働などの各分野での改革や変化が政治的社会的な自由化につながっている状況を論じ、過去における国王を頂点としたトップダウンの体制から、現在はダイアローグを基調としたボトムアップの体制にモロッコは移行しつつあると評価した。その一方で、人権問題に関わるモロッコへの批判にも言及し、またイスラームに関わる価値観や慣習が種々の改革とぶつかり合う現状も指摘するなど、その内容はバランスのとれたものであった。

民主化に関しては、「狭義の民主化」と「広義の民主化」という議論の建て方がある。狭義のものは法律や制度の改革による政治レベルにおける直接的な変化であり、広義のものは教育や経済などの発展による社会レベルにおける一般的な民主主義の理解や受容・定着を意味している。上記報告は、モロッコにおける「広義の民主化」に関わるものであったといえる。モロッコは王制アラブ8カ国のなかで、国王が下院総選挙結果第一党の党首を首相に任命している唯一の国であり、民主化や自由化に関わる制度と運用の関係が他の国々よりも積極的に展開されている。その背景にあたる部分が、今回の研究会において紹介・議論され、非常に有意義な内容であったと思う。

2006年度第1回研究会

2006年11月18日 14時00分〜@東京大学文学部アネックス イスラーム地域研究事務室

中東民主化研究班では、中東各国の民主化に関わるデータベースを作成し、ウェブ上で公開するための作業を続けている。このデータベース作成に関して、枠組み(現在の政治体制・政治制度、民主化の経緯、選挙制度と結果分析、政党制度と主要政党の解説、補足の5項目)や執筆方針(制度の内容・変化、実際の運用状況、大統領・国王の権限など)を、メンバー間で協議した。

また、理論アドバイザーである間寧(JETROアジア経済研究所)およびイエメン・バハレーン担当の松本弘(大東文化大学)より、「手続き的民主主義」や「制度的民主化」といった民主化の理論やアプローチに関わる報告があり、データベースの作成・利用や今後の研究会活動などのために、それらをどう認識に活用していくべきか討議した。

データベースの内容は、各国の政治的自由化や制度と運用の確認を基本とし、その後に各事例を横断して比較検討することによって、各事例や中東地域に対する理論・アプローチの応用および評価を試みることとなった。これらの作業を通じて、中東以外の諸地域の民主化との比較を目指し、「中東の民主化」に対するアプローチ構築の可能性なども視野に入れることとした。